yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

【マッチレビュー】観客が入ったなら 〜リバプール×トッテナム 20/21プレミアリーグ第13節〜

こんばんは、yoruです。最近卒業うんたらかんたらで時間が取れず、レビューかけてなかったんですけど、少し時間ができた&試合が面白かったので書こうかと。時間優先なので誤字脱字ご了承。

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【スタメン】止めたいところ、生かしたいところ

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 リバプールは基本的にはいつもの形。怪我人大量でやばいやばいと言われつつも、こうしてみるとなんだかんだ揃ってるようにも感じるのは、この試合のカーティスとリース・ウィリアムスが10代とは思えないパフォーマンスを見せてくれたからだろうか。

 スパーズはいくつか変更点が。まず左SBデイビス。レギロンの爆速オーバーラップよりまず対人でサラーを止めることを優先。さらに右サイドにシソコ、CHにロチェルソを。前回の対戦でもマネにタンガンガをぶつけてきたり、モウリーニョリバプールのサイドを警戒してる様子。どうせCHにしてもスパーズの右サイドのカバーに行ってしまうならシソコのスタートポジションを最初っから右に置くことで守りやすいだろうと。なんとなくだが、サイドを封じてクロスは弾き返す。その後中盤に置いたロチェルソからケインなりソンなりでカウンターで仕留める、というのがモウリーニョの描いたプランなのだろう。中盤から崩せず苦労した前節のリバプールを見ればそのプランは有効だと思う。

 

【前半】どちらも狙い通りに。

 両指揮官の狙い通りにゲームは進む。リバプールがボールを持ち、スパーズが耐えてカウンターを狙うという構図。

 スパーズボールになったときにはボールサイドにロチェルソやホイビュアが寄り、ケインにすぐさま縦パス。苦しい体制でもワンタッチで繋ぐシーンを作れるから今季のケインは凄まじい。それでもロチェルソがケインを追い越す動きはあまりなく、なるべくソンと2人で完結、もしくはベルフワインかシソコがサポートして仕留めるというのが今日のスパーズ。f:id:yoru__li:20201221191246j:plainエンドンベレがいないからか中央でのキープは降りてくるケイン一人で、後ろがリバプールのプレスに対して苦し紛れにアバウトなボールを出されると流石のケインでもなかなか収められる回数は少なかった。またベルフワインやソンフンミンも狙うのはSBとCBの間で、クオリティと速さに「さすがだなぁ」と思うシーンもある一方、アーノルドやロバートソンのカバーを迷わせることなく楽にさせてると思うこともあった。実際この試合のアーノルドによるリースの背後のカバーは際立っていた。

 

 

そんなスパーズのカウンターに怯えながらリバプールはボールを持つことになる。できるだけシュートで終わりたいところ。トッテナムは4-4-2のブロックを敷く。となればリバプールの中盤が降りて3バックを敷くのが現代流。そうして降りたときに、今日のリバプールはCB二人、そしてヘンダーソンを含めてスパーズのカウンターのリスクがありながらも「運ぶ」という意識は強かったように見える。

 

まず、リバプールが攻め入ったのは右サイドから。中盤3枚のうち、カーティスがライン間で受け役が得意&ヘンダーソンが右に降りる方が利き足的にプレーしやすい、の二点から。リバプールはサイドからライン間を狙うチーム。そんなリバプールに対してこの試合のスパーズの守り方は外を固めること。ベルフワインは体の向きからしてもアーノルドに時間を与えないということを徹底してたように見える。なのでヘンダーソンが運んで行っても、対応するのは番人ホイビュア。背後にいるカーティスを消しながらヘンダーソンにもプレッシャーを与えたり徹底的にシャットアウト。ホイビュアの周りはこの試合を通じて使えなかった。

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ということで12分あたりから徐々にヘンダーソンが左にいくように。合わせてカーティスも左に。またリバプールの左サイドは右サイドに比べてポジションチェンジが多いのが特徴。ロバートソンが裏を取ったり、マネが降りてきたり。そんな動きに迷いを見せたのがロチェルソとシソコ。左サイドはベルフワインがサイド!ホイビュアが真ん中!とわかりやすく分担されてたのに対して、右サイドはシソコがロチェルソとの間にいるカーティスやマネを見たり、人基準なのかゾーン基準なのかがはっきりせずマークを外してしまうように。その流れで見事にヘンダーソンからロバートソンが裏を取りサラーのシュートまでいった21分と同じような立ち位置と動きで、さらにフィルミーノが絡むことで先制点は生まれる。

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21分のシーン

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得点シーン


 まず、リースのフィードが最高。本数は少なかったけどフリーの状況からあのボールが出せるなんて、、、。冬の補強に迷いが。そしてカーティスのキープ力は見事。ボックス内でも落ち着いてるし。サラーのシュートはディフレクションになってゴール。スパーズは若干ついてない感じもあるが、ロチェルソ側は完璧に攻略していてこの一本前のロバートソンからのサラーのシュート含め、合わせ技一本ということにしてもらえないだろうか。

 

先制後、スパーズはホイビュアが右サイドに。ロチェルソと立ち位置を逆にする。これで同じ攻撃が全く通用しなくなってしまうのだから、今スパーズで怪我しちゃいけないのはケインでもなく、ソンでもなくホイビュアなのではないかと思う。ホイビュアがリバプールの左に来たのと同時に、逃げるようにカーティスが右サイドに行ったのが面白かったです。

これでリバプールもなかなかライン間を狙えなくなり、中央での崩しが減少。クロスが多くなる。ということはスパーズのカウンターの機会が増加することになる。スパーズの先制点は「必殺リプレイ中にゴール前。」気付いたらソンがアリソンと1対1でした。もう一度よく見てみると、ロチェルソの単機ドリブルからソンがあっさり裏抜け。ベルフワインが珍しく横方向に走ったのが効いたなと。そしてソンもあっさりシュートも決めるという今季これからも何回も見るんだろうなという得点。ソンは枠内シュートは8割ぐらい得点にしてるらしい。バケモンじゃん。。。

 

 

こんな感じで前半は終了。リバプールもロングボールが増えたとはいえ、サラーとマネのキープ力がえげつなく、ゴール前のシーンは作れてはいた。が、スパーズの守備陣も集中凄まじく、ビックチャンスにはならない。

ボールを持って得点したリバプールと、その後守備を修正してカウンターで追いついたスパーズ。両者狙い通りの形が出せた前半だった。そして見応えも十分。世界よ、これがプレミアだ。

 

【後半】変更して膠着。勝負を分けたのは

 後半、変更してきたのはスパーズ。プレスに3人かけるようになった。流石にビルドアップを阻害しないのは後ろの負担が大きすぎるということか。さらにロチェルソがサイドに、シソコが中央に戻ったこと。結果、役割も左サイドのようにはっきりして守りやすくなったと思う。SBやヘンダーソンがサイドで低い位置にいるときはプレスもかけるようになった。

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ただ、ボールを取ったとてリバプールのプレスはいつも通り。特別緩めることはしないので、スパーズはロングボールになってしまう。それでも前半よりベルフワインの距離が前の二人と近くなったので生まれた決定機が2回。どちらも惜しいシュートだった。決めたいところだっただろう。さらに守備は整理されたけどやっぱり攻撃はサイドにいるとうまく使えんってことでロチェルソoutルーカスin。イエローももらってたし。これで左右対象でどちらからでもカウンター狙ってこうというモウリーニョ

 

対して前半ホイビュアがポジションを変えてから、いまいち効果的な狙いどころがなくなったリバプール。ただ、ここでバランスを崩すことなくしぶとく狙ったのは良かった。プレスは効いていたし、それは攻撃時に大きくポジションを崩すことなく攻撃していたからだ。交代枠も使えないのもわかる。変更があったと感じたのはフィルミーノがサイドに流れることが多くなったこと。スパーズのサイドが前に出ることが多くなったのに対して、フィルミーノが流れ起点を作ろうとした感じ。それでもライン間ではなかなか受けれず、結果的に増えたのは浅い位置からのクロスとサイドでの1対1。特にマネとオーリエのバスケの1on1のような攻防は最高に面白かった。まあ、オーリエがほぼ何もやらせなかったんですけど。ただ、奪ったスパーズもカウンターの距離が長くなかなかPAまでは持っていけない。

 

こんな地上戦で膠着状態になったときに勝負を分けたのはセットプレー。アリを入れてセットプレー機会を増やそうとするスパーズと、サイドの1対1からコーナーを増やすリバプール。結果的に利益を得たのはリバプールの方だった。90分にフィルミーノ。前半にも1本惜しいシーンがあったが、今回はしっかり決め込んだ。

 

そのままリバプールが逃げ切り首位直接対決を制した。

 

 

【まとめ】観客いるからね。

今季、過密日程でなかなか最後まで見応えのある試合というものは見れていなかったが、この試合はとても面白かった。それは両指揮官の狙いがしっかり見え、さらに結果も出てというものもあるし、最後ゴールを決めたフィルミーノが観客に向かって走っていく姿がなんだかエモーショナルだというのもある。

スパーズはいつもの形では守りきれないと言うのもあったのかもしれないが、中央の起点がケインしかなく時間がそこまで作れず、カウンターが単発になってしまったというのがちょっと迫力に欠けたところ。カウンターが中央一辺倒になってしまったのが守りやすくなった感も否めない。もう少しサイドを使ってゴールまではならないまでもCKや敵陣でのスローインなど得られるようにしても良かったのでは。後半になってシソコとホイビュアが並んだ中盤の硬さを見たらいつもの形も見たかったなと。守備柱・ホイビュアは大事にして欲しい。。。

リバプールはまず若手2人に最大級の賛辞を。ジョーンズはポジショニングも良く、キープ力もあり、今中盤として一番攻撃的な役割を任せられる。ララーナみたい。そしてデビュー戦となったリース・ウィリアムスもほぼノーミスの出来であった。ケインを押さえカウンターの芽を的確に潰していた。また攻撃時も臆せずボールを持って配球していたのも素晴らしい。全体としても交代せず最後まで走りきったのはやっぱり観客のいるアンフィールドだからかなとも思う。やっぱりいいなぁ。去年の勝負強さを見た気がした。観客いるアンフィールドで負ける気がしないぜ。

 

ということでリバプールが首位に立ち、さらに次節パレス戦も大勝し(南野やったぜ。)首位に馴染んできた。けが人もチェンバレンやチアゴも戻ってくるようで、なんだかんだ言ってなんだかんだである。ただ、やはり相手のCBの質が高くクロスが決まらない&サイドから崩せないと手詰まりというか質に頼むしかない感は否めないので、チアゴやカーティスの活躍が望まれるところである。一方、スパーズはレスターにも負け、3戦勝ちなし。年末の過密日程のなかどこまで修正できるかが鍵である。

次の直接対決は1ヶ月後の1/29。ロンドンではどのような試合になるだろうか。楽しみである。