yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

【マッチレビュー】変えざるを得ない 〜レスター×リバプール 20/21プレミアリーグ第24節〜

 ご無沙汰してます。yoruです。卒業の云々も落ち着いたので今節からまたレビューを書いていこうと思います。CLは迷い中。

 

ということで3位と4位のCL圏争いバチバチのレスター戦。お互い負けられない一戦。

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慣れない穴を仕留めきれるか!

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スタメンはこちら。

 

立ち上がりレスターは前からプレス。ここ数試合試行錯誤してきたやり方を持続してきた。442の形でリバプールのDFラインまで出て行って、奪いどころはボールサイドに圧縮した中盤。エンディディやティーレマンスで奪い、あとはヴァーディを見てラストパス。

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そんなレスターに対しこの日のリバプールはロングボールで裏狙いが目立った。特に狙いは高い位置をとるロバートソンからと、リカルド・ペレイラとサラーのマッチアップのところ。

ボールサイドに圧縮するレスターに対してリバプールはアーノルドが下り目、ロバートソンが高い位置をとって、右側にレスターを寄せ、そこから広いスペースを享受しているロバートソンへ。ロバートソンからはシンプルに中にアーリークロスや、マネとアマーティの1対1へ繋げることができていた。

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そしてもう一つ、リカルド・ペレイラとサラーのマッチアップのところ。レスターは今季ここまで全試合先発出場だった左SBジャスティンがシーズンアウト。代わりに本職右SBのリカルド・ペレイラが入ったのだが、明らかに前半はサイドが普段と逆でやりずらそうにしていた。特にヘンダーソンから背後のサラーに向かって飛んでくるボールの対処は、同一視野にサラーとボールを入れることが不可能に近いので、ほぼほぼサラーにボールが収まる結果に。ヘンダーソンのボールの精度もさすがである。

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しかし、この日の3TOPは最後の場面で精彩を欠く。ソユンク、エバンズ、シュマイケルの最後の粘りもあった。前半に立て続けにあったCKで得点に至れなかったのもやはり痛い。また、中盤の3人は「シンプルに前線」という意識があったのかボールタッチも控えめ、ワイナルドゥムとミルナー中心にセカンドボールの回収に従事していた。その分、レスターDFを押し込んだ時に動きが少なくなってしまう。実況解説の方は「リバプールの波状攻撃が続く」と言っていたけれど、単純にセカンドボールの場面の数的優位で回収できているだけであって、攻撃一発一発は狭いスペースをなんとかこじ開けようとするもので、そりゃ精彩は欠く状況だった。一方そんな3TOPから中央を閉めてバシバシ刈り取るエンディディは何度も攻撃の芽を摘んでいた。

 

レスタープレス→リバプールロングボール→得点には至らずCK→レスターカウンターチャンス→なんとか抑える

という場面がコロコロと続いていくのかと思ったら、17分にミルナー負傷でチアゴIN。ただこれで変わったのはリバプールよりレスターの方だと思う。プレスが若干弱くなり、撤退が早くなる。その分リバプールは押し込めるようになったわけだが、やはりIHの動きが少なくレスターDFの背後のスペースも少なくなりロングボールでの速い攻撃も使えないので、狭い状況を3TOPでなんとかしないと、みたいな攻撃が続く。

こうして徐々に試合のテンポが落ちていくにつれてリバプールのプレスの強度も落ちていく。というよりチアゴになって押し込む色が強くなった、またミルナーの怪我を見てビビるところもあっただろう。ということで35分あたりからレスターの攻撃もゴール前まで行くようになる。レスターの攻撃はやはりまずヴァーディを見るところから、無理ならばサラーの背後に位置取ったリカルド・ペレイラへ浮き玉。そのままバーンズのカットインまで繋げられるように。ヴァーディのシュートは惜しくもアリソンの正面だったが。サラーの背後はリバプールの泣き所というか長年狙われ続けているところだが、守備に慣れないリカルド・ペレイラも攻撃時にはビルドアップの出口としてきちんと役割をこなしていたのはさすが。むしろ右利きというのがスムーズなボール流しに機能していた。 

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効果的なIHの働きを見つけよう

リカルド・ペレイラが慣れてないうちにどうにか一点を取りたいリバプール。問題はIHの立ち位置である。今季のリバプールが陥りがちな「ボールは持てているのに相手のブロックを崩せない、前線3人の個人技でスーパープレーが出るの待ち」というのはIHが原因だと思っている。まあもとを辿ればCBがいないことに帰着するのだが。

 

具体的にはIHの斜めの動きがない事による、SBからの斜めのパスが入らないこと。入ったとしても狭いスペースの局面を打開しないと得点には繋がらない。中央にボールが入らないとなると、あとはもうWGの個人での突破が必須条件になってくる。それでも中央での空中戦で勝ち目は少ないので、足元でどうにかしないといけない。フィルミーノも不調というよりかは、以前よりスペースが少なくなっているからミスが出ているのだと思う。

じゃあなんで斜めの動きがないんだよっていうのは多分、

・CBが本職ではないから、カウンターのリスクが大きい→中央から離れづらい

というのと、

・IHがサイドに流れてもクロスを上げるタイプではない&空中戦に勝ち目が薄い

ということから来てるんだと思う。昨季のリバプールはCBが世界最高と爆速マンコンビでロングカウンターに強い&その前に刈り取れるファビーニョがいたという守備の強さと、ヘンダーソンが短長のパスを中央からもサイドからも出せる&ワイナルドゥムが空中戦に強くBOX内に入っていけるという攻撃の強みがガッチリ組み合わさっていた。しかもヘンダーソンはサイドに流れながらもサラーやアーノルドにプレス指示を出しながら自分も刈り取れるという攻守の要。ワイナルドゥムも言わずもがな運動量は化物。BOX内に入っていってもプレスバックをサボることはなかった。

 とまあ属人性の高いサッカーではあったから、一つのポジションに怪我人が重なればうまくいかなくなるわけである。それでもリバプールが433で戦う以上、特にレスターという組織力が強いチーム相手にはやはりIHの斜めの動きというのは必要な訳でやらねばならない。

 

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という思いを察知してくれたのか、35分過ぎからカーティスが右サイドに流れるようになる。するとアーノルドがバーンズを引きつけサラーにパス、そのままアーノルドはカーティスが流れて開いた中央のスペースに走り込みサラーからのリターンをもらう。ソユンクはカーティスのケアのためサイドに釣り出され、中央のフィルミーノにも余裕ができ、最後は逆サイドをあがってきたロバートソンのシュートまで持ち込めた。レスターのブロックを上手く人の移動で崩せた瞬間である。

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さらには42分にも同じようにカーティスが流れ、サラーが低い位置でもらいワイナルドゥム経由でライン間のマネへ。中央にできたスペースを持ち上がりボックスギリギリでファウルをゲット。そんでその時にエヴァンスが足を痛めてた。明らかに痛そうだったのにプレーし続けたのは大丈夫なの?

後半に入っても痛そうなエヴァンス。と、同じようにIHが流れるようになったリバプール。前半との違いはチアゴが右、カーティスが左になったこと。カーティスが左になったことで、右ではサイドに流れてからうまく絡むことができなかったカーティスが、カットインからのシュートができるように。

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ビルドアップからシュートまで持ち込めるようになると、レスターのボール回収地点は低くなり、被カウンターの回数は減り、試合のテンポは上がり、セットした状況から始められるのでプレスの強度も戻ってくると良いことづくし。レスターのビルドアップも奪えるように。そんな中で、ティーレマンスからバーンズのボールをアーノルドがインターセプト。そのままシュートまで持ち込み、さらにこぼれ球をフィルミーノへ。フィルミーノはエヴァンスを押さえながらサラーにお洒落すぎるヒールの落とし。サラーもワンタッチでゴールに。若干脈略のないスーパーゴールかもしれないがこの時間までリバプールが押し込んでいた結果だと思う。カウンターも早めに摘めていたし。

 

揺れるリバプール。揺るがないレスター。

 押し込まれていたからと言ってレスターもやり方を変えたわけではない。むしろ前半から一失点しようと変えずにやり続けた。前半と同じくまずはヴァーディを狙って、マディソンはその中継役。厳しそうだったらバーンズのドリブル突破を試みる。一失点目のティーレマンスのパスも対角にいたバーンズを狙ったもの。そしてその前のペレイラがサラーの背後を取るところも継続し続けた。

一点取って、継続できなかったのはリバプールの方。前線と中盤が動くことでレスター陣内に押し込め、マディソンやヴァーディへのボールもカット出来ていたのだが、前線および中盤の動きが減ってしまう。チアゴもカーティスも動きながら守備のタスクまでずっとこなせる選手ではないのは元々だ。体力の問題もあるし、リスクを背負いながら攻撃していたと考えると、一点取って後手に回ってしまうのも仕方ないところもある。

と、中盤の動きが少なくなると前半と同じようにリバプールがボールを持っても入りきれない→レスターが中盤で前向きにボールを奪える→ヴァーディのカウンターチャンスが増える。という展開になる。

 

ということでやはり動きはつけなければならない、と考えたのか、カードをもらっていたカーティスに変えてチェンバレンがIN。 しかしチェンバレンもチーム全体が前向きにプレーしてる時に輝く選手だ。カバクが一枚カードを貰い、本職ではないCBと組んでいる状況でヴァーディという背後のスペースが大好物の選手相手に全体がすぐ押し上げるようなプレーはできず、前からプレスに行こうとする左サイドとバーンズやリカルド・ペレイラをケアしたい右サイドで揺れ、結果的に全体が間延びする。そこで輝いたのがティーレマンスとバーンズ。前者は中盤で嫌なほど冷静に淡々と仕事をこなし、バーンズは左サイドから仕掛け続ける。結果的にFK獲得。VARでごたつきながらもマディソンがゴールを決める。

 

んで、地震が起きてめっちゃ揺れてる中、これまた前半から狙われ続けたカバクの背後をヴァーディに狙われ連携ミスが起き、あっという間に逆転。ちなみにヴァーディへのボールを出したのはこれまたティーレマンス。その後もレスターはバーンズから狙い撃ち。カバクは無力であった。

 

リバプールシャキリを入れるもチグハグで、シュートは得点のシーンから一本も無かった。15分であっさり逆転。悲しい敗戦である。

 

レスター3-1リバプール 

LEI ジェームズ・マディソン 78'

ジェイミー・ヴァーディ 81'

ハーヴィー・バーンズ 85'

LIVハメド・サラー 67'

【まとめ】変えざるを得なかった

昨季走り合いに付き合ってくれるチームが少なかったこともあって、今季の補強は「走り合わずとも相手を殴り続ける」ためにチアゴを獲得しカーティスを重用している。それに今のリバプールスカッド状況では「90分間走り合ってカウンターを撃ち合う」という状況では昨季より勝機が薄い。ヴァーディやその他プレミアレベルのFWを抑え込めるCBは居ないし、過密日程でそもそも全体が90分間強度を維持できないからだ。だからこそ自動的に中盤がチアゴとカーティスになってしまう部分もある。

しかしチアゴとカーティスを起用してボールを保持しても、ディフェンス時に徐々に負担はかかっていく。それでも一点取るまではなんとか利益をプラスにできていたのだが、一点取ってからは体力の問題もあり、動きが減りプラス面が減ったことによって、チアゴとカーティスのマイナス面が見えやすくなってしまった。んで、中盤を変えようにもカーティスやチアゴと同じ役割を勤められる人はいない。チェンバレンを入れてもそれは「走り合ってカウンターを撃ち合う」になってしまう。後半残り20分という場面でチーム内でどうすればいいのか揺れるのは必然だったと思う。

というかそもそも前半のうちはミルナーとカーティスで「走り合いながら押し込んだときにもそれなりに攻撃する」というプランだったのではないか。ミルナーなら出て行ったSBのカバーもできるし。それが怪我で崩されてしまうんだから今季のリバプールは尽くついてない。

 

 

 

なんか長々と分かりづらくなってしまったが、要はレスターという走り合いながらも、ブロックでも守れる、カウンターも長短打てるというなんでもできるチーム相手に、リバプールはそれに合わせた戦い方をできるだけのスカッドではないという事である。ピーキーな戦い方か、バランスを取ってるように見せて半分運に任せる、という戦い方しかできない現状。ピーキーにしろバランスを取るにしろスカッドは薄く、一試合を通じて同じ戦い方はできないのである。そんな揺れ揺れなリバプールに対して、一試合通じて揺るがずに同じことを継続し続けたレスターが勝ったのは必然だったように思う。そしてそうさせてるのはヴァーディという素晴らしい選手なんだなとも思う。

 

 

それでは。

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