yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

【マッチレビュー】幅を使えるようにする試合 〜ドルトムント×ホッフェンハイム 21/22 ブンデスリーガ第3節〜

こんばんは、yoruです。

今節も書いていくぜ!

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スタメン

これまでのホッフェンハイム

 さて、公式戦2連敗中のドルトムントがホームに迎えるのは、ホッフェンハイムである。監督はバイエルンリザーブチームを率いて3部優勝にさせたセバスティアン・へーネスが昨年から指揮している。そのホッフェンハイム、ここまで2試合を見てちょっと変わったというか、システマチックなサッカーをしているので説明しておきたい。

f:id:yoru__li:20210828000253j:plain ここまで2試合のスタメンがこちら。基本的な攻撃時のルールはボールを持ち相手を押し込んだ上で、さらにパスで崩していく。個人の突破やロングボールに頼らず、構造的に戦うのがブンデスの中では特徴的。(守備や攻撃の前段階で仕込んでくるチームは多いが、最後の崩しは個人の突破にかけるチームも多い)

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ビルドアップ時にはCBの二人と左SBのラウム、そしてボランチの二人が3-2のような形で前進していき、ファイナルサードではラーセンとバウムガルトナーが幅取り役、ダブールとフィジカルのあるアクポグマが中央からハーフレーンを埋めつつ、クラマリッチが幅広く動きながらビルドアップ隊からボールを引き込んでラストパスを送る。クラマリッチがビルドアップ隊に顔を出すと、ルディやラウムが代わりに上がっていく。

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そうして幅をとって相手のブロックを広げながら、そのスペースにクラマリッチが顔をだし、ラストパスを出すというのがホッフェンハイムのここまでのサッカーである。

 

真ん中を封じられたら

ではこの試合のホッフェンハイムはというと、ドルトムントの攻撃を意識した形でスタート。まずラーセンとバウムガルトナーの立ち位置が逆であった。さらに幅取り役ではなく、攻撃時には内側で絞った位置で立っていることが多いため、奪われても真ん中を使いたいドルトムントにすぐプレスをかけられる。攻撃の厚みをかけるのは左SBのラウム。これまでは内側を走ることが多かったが、この試合内側にはバウムガルトナーがいるのでこの試合は外側を走ることに。CBもできるアクポグマはこれまでに比べて上がる回数が極端に少なかった。これも『リスクをかけるならドルトムントが使わない外側から、奪われても真ん中を使わせずアクポグマも保険として残しておく』という対ドルトムント用のシステムだろう。

 

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では真ん中を封じられたドルトムント。前節のフライブルク戦では真ん中を徹底的に封じられるも、無理やりこじ開けることに固執しカウンター食らって負けている。ただこの試合では改善されているように見えた。

まずホッフェンハイムのプレスに対してはGKを使いながら丁寧に剥がしていく。ホッフェンハイムも奪い切るというよりはカウンターを防ぐぐらいの迫力のものだったので、CBにダフードも加えた4枚で持つとボールが安定し、ホッフェンハイムは撤退。4-4-2のブロックを敷く。

で対ブロックだが、前節からSBを使う場面が大幅に増加。サイドにボールが行くことで中のブロックが広がり、ボールを失いにくくなる。さらに、マレンやレイナが相手SBとCBの間のチャンネルを狙う動きが多く見られた。

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ここを取れればクロスの成功率も上がるし、ライン間も空きやすくなる。マレンが外に開きながら同時にゲレイロが内側に入るような流動的なポジションニングも取れるようになったのは前節からの明らかな改善点である。

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こうしてボールと人が大きく幅も奥行きも使うようになったことで、一人一人がスペースを持ちながらプレーすることができ、シュートまで行くシーンも多く作ることができた。ただ、ホッフェンハイムがファウル覚悟でタフに当たってきたこともあって前半は得点が生まれず。ロイスやハーランドの最後の精度ももう少し欲しかった。

 

 

後半に入ってもこの構図は大きくは変わらず。ドルトムントはやはり開けるマレンと内外問わないゲレイロのいる左サイドからの攻撃が多め。ロイスも左に流れるのが好きなので自然とそちら側からボールは入る。

すると後半開始すぐに左側から得点。ゲレイロが幅を取りアカンジからのパスをワンタッチでロイスに。ロイスは内側を向くと、ライン間に走り込んだベリンガムがボールを受け、最後はレイナが仕留めた。同じ真ん中を使うにしても一度幅を取り、そこからワンタッチで素早く中を使えているのでライン間が空きやすい。またマレンとハーランドがCBとSBの間にポジションをとっているのも効いた。

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2点目もホッフェンハイムを自陣に押し込み、ゲレイロがフリーでクロスを上げたところからこぼれ球をベリンガムが左足で仕留めた。見事な左足だった。

 

 

いつも通りにしましょう

 さて1点取られたあたりから、流石に押し込まないととなったホッフェンハイム。ラーセンとバウムガルトナーの位置を元に戻し、柔軟にポジションをポジションを変えることができるガチノヴィッチを投入。ボランチをガイガーとルディにして全体の流動性を上げ、ボールを持つように。前半はドルトムント対策により自らの攻撃も幅を使いにくくなり、中央で詰まってしまうことがあったが、この変更により幅を使えるように。ドルトムントのボールを失った時のプレスも中央のレーンを厚くして、サイドはサイドバックに一任。よってサイドに張るラーセンやバウムガルトナー、さらにはサイドバックの位置に降りてくるクラマリッチらがサイドに集まり数的優位を作るとラインを下げ撤退することになる。

 ホッフェンハイムの得点はいつも通りのレーンを綺麗に使えたところから。左から押し込むと右に持っていき、ガイガーから斜めに走り込んだバウムガルトナーが決めた。ドルトムントとしてはあそこまで視線が左右に振られ、前後に出し引きされるとラインを綺麗に揃えるのは難しいだろう。

また幅を使えるとコーナーやスローインのセットプレーが増えるのも良い利点。ホッフェンハイムの2点目はコーナーから。クロスに対してアクポグマがニアでそらしたボールを最後はダブールが押し込み同点。90分にして試合を振り出しに。

 

 

ただ最後は劇的な結末に。ロイスとパスラックでまたしても左から侵入。ホッフェンハイム疲労で全体が間延びしており、ロイスがスルスルとライン間に。最後は左に流れたハーランドが反転してシュート。マレンと違い左利きのため反転からのシュートがスムーズだった。一度はバウマンに弾かれるもののまたこぼれ球を詰め決勝点に。ここまで当たりが少なかったストライカーが試合を決めてみせた。

 

 

継続できるのか

 ジェットコースターのような結末になってしまったホッフェンハイム。それでも前半の中央封鎖対策や、1点取られた後の攻勢に出る変更など狙いを持って行ったところは成功したと言って良いだろう。特に頑張っていたなと感じたのはガイガー。若くして出てきた時は司令塔としての素質はあるものの早い展開についていけない場面が目立っていたが、この試合ではその不安もなく、場面にあった振る舞いを続けることが出来ていた。

やってるサッカーの狙いが良くブンデスらしくない所もあるだけに、このなかなか勝ち点に繋がらない今の状況はもどかしいだろうが続けてもらいたいところである。

 

 

 前節フライブルク戦から改善し勝利となったドルトムント。特にマレンはサイドに開きながらドリブルでカットイン、シュートまで出来るシーンがたびたび見られ、あとは得点だけといったところか。サポーターがマレンに求めていたプレーはそういうのなんだと思う。決して中央にドリブルで突っ込んで揉みくちゃにされにいくのではないはずだ。またやはり両サイドバックはこの試合の注目点であった。ムニエも去年に比べ上がるタイミングと位置が改善。中を助けるような立ち位置を取れていた。またゲレイロはコンディションがまだフルではないんだろうが、それでも1点目のワンタッチパスや内に入る動きなど要所要所で攻撃に貢献。願わくばもう1人くらいこの働きができるサイドバックが欲しいところである。

懸念点としてあげられるのは怪我人や勤続疲労のところか。特に中盤はこのスタメンを変えるとちょっとパフォーマンスが落ちちゃうかなと思えるほどレイナやベリンガムが素晴らしい。ベンチメンバーの奮起を期待したいところである。

 

 

それでは。

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