yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

【マッチレビュー】優位性の取り方 〜ビジャレアル×アタランタ 21/22 UEFA CL GS第1節〜

こんばんは、yoruです。

えーこの度、チャンピオンズリーグのグループステージを全試合アーカイブとしてマッチレビューを書こうという企画にお呼ばれいたしました。普段はリバプールドルトムントを推している私でございますが、くじ引きの結果をグループFを全部見るマンとなりました。よろしゅう。

その他の皆さんの素晴らしいレビューはこちらからご覧いただけます。ぜひ。

windtosh.com

それでは頑張って書いていこう!!!

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配置で殴る。優位性を取り合う。

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スタメンはこちら

 

 CLも結構常連となりつつあるガスペリーニアタランタ。狙うは3年連続の決勝トーナメント進出である。チームの特徴とし守備はほぼマンマーク、攻撃は次々に裏へと人が抜けていきフリーマンを作るということ。3CB、特に左右のCBも積極的にボールを運び、隙あらばファイナルサードまで走りこむという強度とハードワークを全員に求めるのはちょっとプレミアのチームっぽい。プレミアのサポーターにも人気があると感じるのはそのせいだろうか。この試合も特に配置は変えずいつも通りの3-4-2-1である。

 対するは昨季EL王者のビジャレアル。ポッド1からの参戦である。CL前にビジャレアルの直近のリーグ戦を見ようと思ったのだけど、なんだかリーグ戦が延期になってしまったみたいでフルマッチは見れず。なんとかいろんな方のレビューだったり、去年のちらっと試合を見た記憶を頼りに印象を書くと、基本的には4-4-2の形で幅をしっかり取り、ロングボールは使わずじわじわと運んでいく。ファイナルサードで違いを作るのは右サイドのピノとジェラール・モレノ。この二人にいい形でボールを届けるのがチームとしての最終目標である。守備は前線から人を捕まえに行くプレスと、4-4-2で待ち構える守備の併用である。

 

序盤から優位性を握ったのはアタランタ。シンプルに4-4-2と3-4-2-1の噛み合わせの悪さを利用して殴っていく。具体的にはサイドのCB、WB、シャドーの3枚でビジャレアルのサイドの二人に対して数的優位を取れるところ。

特に試合開始から右サイドのザッパコスタをビジャレアルは捕まえきれず。2トップのプレスも3CBが横に広がることで縦のパスコースが空いてしまい無効化されつつ、デローン、フロイラーのボランチが最終ラインに降りることでさらにサイドのCBを押し上げる準備っぷり。また前線はサパタが自身がフィジカルで勝るアルビオルをピン留めできることで、ビジャレアルの守備の基準点が強制的に決められ、ペッシーナが自由なポジションを取れるように。

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結果右サイドでの数的優位と、サパタとアルビオルのマッチアップから生まれるズレが開始5分で先制点に。中盤でアバウトなボールを拾ったアタランタは右サイドに展開。大外にザッパコスタが張っている中でハーフレーンでボールを運ぶマリノフスキーに誰も奪いに行けずクロスを通され、サパタがポストプレーアルビオルを止めたまま落とし、後ろから入ってきたフロイラーがフリーでシュートを決める。

この試合アタランタは比較的奪ってからもボールを落ち着かせた上で配置で殴ろうというボールの回し方だったが故に、ビジャレアルはディアがサイドの助っ人としてなんとか数的同数に持ち込む場面があったものの、奪われ方がまずかったために助っ人も間に合わず。開始早々ホームでリードを取られてしまう展開に。

 

 

さて、噛み合わせが悪く守備の対応が悩むのはアタランタも同じ。アタランタの守備はサパタがアルビオルに、マリノフスキーがパウ・トーレスに、フロイラーとペッシーナがパレホとカプーに、SBにはWBが、と前線からハメに行くマンツーマンだが、GKまでは追わないというルール。ビジャレアルが突くのはそのGKからの配球。序盤こそGKからCBへのパスが目立ち、結局マンマークが外せず詰まってしまうシーンが多かったものの、20分前ぐらいからルジがボールを持った時にはCBは広がり、SBもCBと横並びに低い位置を取る。そうすることでSBに若干の時間の余裕が生まれ、そこからビジャレアルはトップのディアにロングボールを当てて落としを拾いながら前進という策を取っていた。特にピノが幅を取り、ゴセンスの背後に立つため、ゴセンスが若干遅れるフォイスから対角へのボールで前進という形が目立った。

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ビジャレアル本来の運び方とは言えないだろうが、それでもBプランとしては十分機能するレベルでディアの勝率は高く、アタランタファーストプレスを打開できていた。

 

アタランタがそのままの立ち位置でザッパコスタをフリーにさせたのに対し、ビジャレアルは押し込んだ後、立ち位置を変えつつゴールに迫る。特徴的なのは左サイドのトリゲロス。内側に絞ることでマークマンのザッパコスタの立ち位置を迷わせると同時に大外をぺドラサに使わせる。

ザッパコスタがトリゲロスに内側に引っ張られるのは守備面でもメリットが。アタランタが奪ってもすぐサイドに展開できず、中→中という進路になってしまうということ。相手陣内では奪われた瞬間に奪い返すビジャレアルはその中→中の進路を閉じることで奪還に成功。38分の同点弾もその構造から。カプーがボールを奪い、最後は内側に走り込んでいたトリゲロス。

 

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前半開始こそ相手のペースにのまれていたビジャレアルだったが、その後はホームで自分たちのペースに持ち込み、1-1で前半を終える。

 

 

再現性は残るか

後半に入り修正が入ったのはお互いの守備。ビジャレアルはWBに早めにSBが出ていくことで、アタランタのWBをフリーにさせなくなる。最終ラインの穴を埋めるのはカプー。一時的に5バックになるのも受け入れ、前半にアタランタが取れていた優位点を消していく。

対するアタランタも下がって引きつけるSBに対してはWBが出るのではなく、ボールサイドのシャドーが出ていく形に。シャドーが出て行った穴はボランチが埋めていく。こうすることでビジャレアルのSHは背後からWBが見れるような形になり、陣形が崩されることなく待ち構えれるように。レーンを移動されても柔軟に対応できる。

 

ただ、前半から強度の高い試合を作ってきた両者。局面の場面をファウルで止める場面も多く、カード的にも体力的にも消耗は早い。結果、70分までにお互いカプー、ディア、トリゲロス、サパタ、デ・ローン、マリノフスキーとキーマンを交代させる。

しかし、マンツーマンという個人の負担と責任が大きい戦術を選んだアタランタに先に亀裂が。押し込まれた後のもう一回プレスへの出足が遅くなってくる。特に距離の遠いCBへのプレスが遅れ始め、前半にはなかなか見れなかったパウ・トーレスからの配球ができるように。ビジャレアルはそのような中での72分に。パウトーレスから縦パスでゴール前に迫ると、一回奪われてもプレスでパレホが前向きに奪い返し、モレノの足下からダンジュマにボールが渡り勝ち越しに成功。アタランタマンマークと奪ってからの動き出しの継続が人によりバラバラでなかなか前半のように全員が揃ってハードワークできなくなってきていた。

 

それでもアタランタは意地を見せる。サイドからサイドへのロングボールと、変わって入ったフレッシュな前線の前後の動きでビジャレアルのブロックを動かすことで足を止め、最後は前半のうちから取り続けていた右サイドのハーフレーンからのボールに、ボックス内にゴセンスが飛び込み同点に。立ち位置で殴れるので、なんとか前線まで走り込めばそのまま優位性が取れるのが強みである。

 

その後は途中出場のコクランがあっさり2枚目のイエローカードをもらい11-10の戦いに。しかし、アタランタも疲れからかパスミスが目立ち逆転とはいかず。実力伯仲の好ゲームは勝点1を分け合った。

 

あとがき

なかなか面白かったこの試合。お互い「国内にはこんなチームいないぞ!」っていうリアクションとか(サパタとか、ビジャレアルのレーンの使い方とか)、「俺たちのサッカーはこれだが?どうかな?」みたいなやり合いがチャンピオンズリーグっぽくて普段見てないチームでも楽しめました。

 ビジャレアルはなかなかに憎いチームだなと。序盤こそアタランタの策に飲まれたものの、そこからの応手としてのBプランと、押し込んだ後の本来の自分たちのプランに持ち込むのが早い。結構柔軟に自分たちのリソースを使い分けれるチームなのかなと感じました。

 ただそのビジャレアルのプランをアタランタが砕いたのも事実。前半の出足は鋭く、普通に強豪相手でも全然刺さるような武器を搭載。人気が出そうなサッカーしてるよね。走り込んでこいって思ったスペースにガンガン入ってくるから見てて楽しい。一つ懸念点とすれば過密日程になってきたときにどこまでクオリティが維持できるかなんでしょうな。継続してみていきましょう。

 

 

それでは。

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