yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

【マッチレビュー】利益か不利益か 〜エバートン×リバプール 20/21プレミアリーグ第5節〜

こんばんは、yoruです。寒くなってきましたね。僕は暑いのより寒い方が好きなのでいいんですけど、秋って無くなったんですか?

 

今回は10/17に行われたプレミアリーグ第5節、エバートンリバプールマージーサイドダービーを振り返っていこうと思います。 

ナショナルマッチウィークを挟んでの試合だったので、プレビューを書きました。こちらを読んでからだと、より楽しめるかと。よろしければ是非。

yoru-li.hatenablog.jp 

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【スタメン】不安なところは対処療法で。

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スタメンはこちら。

最後にダービーで勝ったのは10年前というエバートン。ここまで夏の補強組のアラン、ドゥクレ、ハメスが大当たりで、対リバプールで特別に人を入れ替えることはせず、4連勝の良い流れを持ち込むために変わらず4-3-3の布陣。怪我で出場が危ぶまれたリシャーリソンも間に合った。

対してなんか今季怪しそうなリバプール。前節から3枚入れ替え。これはプレビューでも書いたが、個人的に今季の不安定さの原因はケイタの中盤のリスクマネジメントと、それに伴って最終ラインが晒される状況の多発だと思っているので(その分攻撃面で変化は起きているが、ヴィラ戦は収益がマイナスだった)、そのポジションにそのリスクマネジメントが完璧なヘンダーソンが戻ってきたことは大きい。さらにここまでリーグ戦フル出場&代表戦3試合、60分&フル出場×2と酷使されまくりで、前節流石に疲れが見えていたワイナルドゥムに変わって、代表選がなくコンディションも万全なアゴが左IHでスタメン。ハメスの守備参加が怪しいので、そのエリアからピッチを全部使えるチアゴが入ることによって相手に的を絞らせないのが狙いか。CBにはマティプが戻ってきたことで、ファンダイクとマティプの空中戦に滅法強いCB2人が並ぶことに。絶好調のDCLの空中戦をこの二人で止めたいところ。

人が3人も変わったからと言ってゲームプラン自体は変えないリバプール。あくまで走り、点を取り、主導権を握るという目的は変わらない。むしろ前節まで崩れていたバランスを整えるように、対処療法のように対応してきた。

 

 

【前半】弱みが出るか、強みを出せるか

クロップのリバプールアンチェロッティの対戦はナポリ時代に4回あるわけだが、結果的にも内容的にもナポリが優勢であった(グループステージで勝ち進んだのはリバプールなのだが)。そのアンチェロッティの対策というのが、ボール非保持時には4-4-2のブロックを形成し、1対1に強いマネにはマンマークで対応。上がってくるSBにはカジェホン、インシーニェのSHがついていって、開いた真ん中のスペースは2トップのメルテンス、ロサノが埋める。降りてくるフィルミーノに対してナポリの2ボランチはそこまで気にせず、むしろ入ってくるIHに強めにアタックしましょうというもの。まあ早い話、『全員自陣に戻ってカチコチブロックを作る&中長距離のパスを出させて連続的な攻撃をさせない』というもの。

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19/20 CL グループステージ第1節

得意のSBからのクロスなどの中長距離パスを使っても、リバプールの前線は空中戦強くないし、むしろナポリの方がクリバリ、マノラスという強力CBを揃えていてほぼ勝ち目が無かった。去年のグループステージ第5節ではナポリは右SBに本職CBのマクシモビッチ、その前にディ・ロレンツォとガチガチの布陣にするなど、こんなナポリから4試合やって2得点しかできてないんだから完敗とっていいだろう。しかも2年連続同じような展開でリバプールは回答を見出せなかった。

 

さてなぜエバートンの話の前にナポリの話をしたかと言うと、このナポリ時代の対リバプールシフトという実績と経験値を持っていながら、アンチェロッティエバートンの選手に同じようなタスクを課さなかったから。そしてそれは主にハメスとリシャーリソンの守備タスク。

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ハメスはロバートソンを見ると言うわけでもなく、ファンダイクからのフィードを牽制するという動きを続けるわけでもない感じ。リシャーリソンは中盤を4枚にするわけではなく、アーノルドを見ておけと言われていた感じ。ただそこまで深い位置までついて行こうとはしない。つまり、中盤は5枚ないしは4枚のブロックを組んでスライドしながらゾーンで守るというより、リシャーリソンはアーノルド、アンドレ・ゴメスはヘンダーソン、ドゥクレはチアゴと明確に見る人が決まっていたようで、本来ロバートソン担当であろうハメスが、ドゥクレからすればサボられるとロバートソンはフリーになってしまうという状況が多かった。

マネにコールマンのマンマークをつけるのは変わらない一方で、この決め事はナポリ時代からの大きな変更点で、メルテンスカジェホンのように守備にまで奔走させるのは、過密日程&代表戦明けのハメスにとってデメリットが多い、むしろ攻め残りさせてカウンターの起点&リバプールの攻撃参加の牽制になると、アンチェロッティは考えたのだろう。ナポリのようにロースコアで耐えて勝つ狙いより、多少殴られても殴り返せるという算段。ということでこの試合はそのハメスの強みが出るか、弱みが出るかで流れが変わっていく。

 

ということで早速、前半2分にスコアが動くことになるのだが、それは弱みが出た形

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アーノルドがボールを持った時に、ヘンダーソンがサイドに流れる動きを見せる。この動きをされると、スペースというより人につくエバートンはアンゴレ・ゴメスが出ざるを得ない。そうして開いたスペースにサラーが降りてきてパスを貰い、埋めに来たアランもフィルミーノとのワンツーでいなし、マネの背後でフリーのロバートソンへ。コールマンはマネのマークを外して出て行ったものの遅れて出て行ったために、一発で交わされ、マークが外れたマネがクロスを受け得点。コールマンからすれば決死の思いでマネのマークを外したのだから、アランとドゥクレがマネを捕まえるまでの時間をかけさせる必要があった。

先制のすぐ後の4分のプレーも、マティプからのロングボールをサラーがキープ。ヘンダーソンとフィルミーノが絡むことで、アランとアンドレ・ゴメスに対して数的優位を作り、また左サイドでフリーのロバートソンへ。この時ハメスはなんとなく戻ってる風。左サイドからのクロスにヘンダーソンとフィルミーノが飛び込むチャンスを作れていた。ドゥクレやアランからすれば目の前のIHを見ながら、サイドに走ってくるSBには出て行って、後ろから降りてくるWGも気をつけなければいけないという明らかに多すぎるタスクを任されていて、ただ、崩壊まではさせないのだからやっぱりこの中盤すごいわ。んで、このあとのCKからのプレーでファンダイクが大怪我してしまうのだからサッカーの女神も結構残酷でエンタメ好きな人である。

 

 

前半6分くらいにファンダイクがいなくなったことで、ここまでファンダイクに競り合いで2戦2敗だったキャルバート=ルーウィンがボールの収めどころとして機能してくるように。こうなるとリバプールも前線からガツガツプレスしても、苦し紛れのロングボールが収まっちゃったりするのでちょっとプレスは自重し始める。むしろエバートンを引き出して中盤で奪いたい感じ。あと、やたら伸びてくるピックフォードのロングキックもちょっとウザい。

んで、DCLがボールを収められる、エバートンの最終ラインは少し余裕ができるようになると、エバートンとしてはビルドアップに挑戦することになる。で、その時に核となるのがハメス・ロドリゲスになる。

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アンカーからSBにワンタッチでSBに前を向かせるのは、対リバプールプレスのお手本で、そこにはリバプールの左IH、この試合ならチアゴが寄せる決め事になっている。そこで取れなくても、ハメスにはロバートソンがついていくので前は向かせない決まりだが、ドゥクレがロバートソンの裏に走りこむタイミングが良く、一瞬ロバートソンが躊躇った隙に、ハメスからDCLへ綺麗なスルーパス。ロバートソンの裏のケアはゴメスの役割なので逆を撮られたゴメスは追いつけず、シュートはブロックしたものの、そのCKから同点に。ドゥクレはこの試合、ハメスの立ち位置を常に確認しつつ、気が効く位置に走るという攻守でいろいろ気が使えるモンスターだった。

 

かといって毎回この動きをハメスは狙うわけではなく、むしろ相変わらず中盤、特にヘンダーソンファビーニョでボールを奪うことは多く、チャンスを多く作れていたのは中盤のトランジションからのリバプール。ただエバートンもCBのフィジカルとピックフォードの好セーブもあって1-1で前半終了。

 

エバートンのハメス起用による弱みは、中盤3人が頑張るというシンプルで個人に頼る方法でなんとかなった感。リバプールはこれを続けていけば点取れそうかなって感じはしている。中盤のトランジションは経験値でなんとかというプランだろうか。

 

 

【後半】いるべき人がいない中で

リバプールのマスターピース、アリソンとファンダイクがいない状況ではビルドアップの質が大きく落ちる。そこでエバートンは後半からプレスを強化。ロングボールを蹴らせて回収したい狙い。

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前半に比べてハメス、リシャーリソンはSBを背後で消すということを強く言われたのか、曖昧にCBまで行くことは少なくなった。んで、アンドレ・ゴメスとドゥクレの2人がCBまで出るように。アリソンやファンダイクであれば浮き玉で背後のSBやチアゴヘンダーソンに出せたのかもしれないが、合計約200億の2人がいなくなってしまった今、そう贅沢は言えない。なんとかサラーやマネ、フィルミーノにロングボールを届けたいが、アランが鬼のような速さでカバーしてきてなかなかボールを持てない時間が続く。50分、59分にハメスから決定機が二回できたが決めれず。ただ、ファビーニョとチアゴの距離が近く、プレスを受けやすかったのも事実。もう少し斜めに段差をつけるポジションを取れればプレスを掻い潜れる回数も多かったような。

また、ビルドアップ時も前半の形に加え、ハメスがIHの位置まで降りてくることでプレス回避を披露。これはナポリ時代にファビアン・ルイスが使ってたプレーに近い。瞬間的にアランとハメスの2ボランチになることで、リバプールのプレスの隙間を使い、ワンタッチでSBにはたく。70分ぐらいまでは厳しい時間が続いた。

 

ただ、ロングボールでスローインやファウルを獲得した時、つまりプレスを回避した時のエバートンの守備はあまり改善されておらず、リバプールの追加点はスローインエバートンがセットした守備の時。

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相変わらずマティプ、ゴメスにはそこまでプレスが掛からないので、マティプファビーニョの脇まで持ち上がる。当然ズンズン運ばれたらきついので、アンドレ・ゴメスとリシャーリソンが釣られて塞ぐが、マティプからフリーのアーノルドに。さらにアーノルドから、アランとゴメスの間でうけるマネに。この縦パスにはドゥクレよりゴッドフリーがそのままついていく。ドゥクレは後半からハッキリとロバートソンを見るように言われたのかもしれない。この縦パスでさらにきゅっと内側に絞らされることになったエバートンの中盤。マネ、フィルミーノと繋ぎ。落としを3センターの脇のポッカリ開いたスペースで待つヘンダーソンへ。ヘンダーソンからのクロスは皆に弾き返されるも、ダイレクトでサラーが弾き返してゴール。

浮いたこぼれ球をダイレクトで叩き込めるサラーはさすがである。

 

追いつきたいエバートン、働き過ぎのアンドレ・ゴメスとドゥクレをシグルズソンとイウォビにチェンジ。433からはっきりハメスをトップ下に置いた4231にしてきた。

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これでハメスが明確にゴメスにプレス、ロバートソンはイウォビが見る形に。アーノルドが開くこともあるけど、その先を止めておけばアラン、シグルズソンがなんとかしてくれるという感じ。これでまたなかなかボールを持てないリバプールは劣勢に。その中でのフィルミーノに変えてジョッタ投入は空中戦の強さ、キープ力考えると南野よりジョッタかなってなっちゃう。後ろから繋げないからしょうがないね。さらにハメスが中央から至る所に顔を出して来るのでとても厄介。エバートンの同点弾はヘンダーソンの背後で受けたハメスからディーニュ裏抜け、精度の高いクロスからキャルバート=ルーウィンのヘッド。ハメスからのパスの時に一瞬フェイントを入れてるのが憎い。アーノルドの裏は出し手がフリーだとあんなもんよ。ゴメスは飛んで欲しかったな。

 

その後はピックフォードのキックミスからのこぼれ球のトランジションでリシャーリソンが退場に。10人になってチアゴの体の向きと全然違う方向に出す変態パス無双が始まるが、VARでオフサイド。なんかリバプールファンからするとその時点で目の色は失われてしまった。

 

ということでマージーサイドダービーは2-2の引き分け。引き分けの試合だけど、エバートンは収益プラス、リバプールは収益マイナスみたいな試合後だった。

 

 

【まとめ】これからどうしよう(涙)

 エバートンからすれば十分な引き分けといったところだろうか。今季好調のハメスとDCLはリバプール相手でも期待通りの活躍。アラン、ドゥクレはさすがだった。自分たちの弱みは受け入れた上で、なお強みが出せて2-2であればプラン通りだろう。流石のアンチェロッティである。前線、中盤の替えが少ないことが気がかりだが、ビック6とは違いヨーロッパのカップ戦がないこともフィットネス的には大きい。この調子でメンバーを揃えていけるなら、前半戦トップ4入りも現実的。あとゴッドフリーも初戦、スクランブル投入にしては及第点なのでは。

 

さて、リバプールは困ったことになっちゃった。この試合だけ見れば『勝てた試合だったのに勝てなくなった』というところか。活躍したDCLもファンダイク相手に90分良い勝負ができたのかということもあるし、アリソン、ファンダイク不在ではビルドアップがやはり厳しい。エバートンのように前線でターゲットになれる人もいないので、こぼれ球をなんとか、という時間はこれからもあるだろう。ただ、チアゴの存在はやっぱり効いていて。あの体の向きと違う方向に出すパス、変態パスに味方も騙されてるところはあるし、433のIHはまだ慣れてないのか2ボランチみたいな動きになってる時間もあって、まだ成長の余地がある。周りとの連携は時間が解決してくれると思うので、そうなった時にボール保持時の強みを楽しみにしたい。あと復帰したヘンダーソンは流石の一言。トランジションの奪いっぷりに、攻撃時のランニング。まだこの人に頼ることが続くんじゃないだろうか。

VARに関しては機械の精度を超えたところの判定は人間の目で決めてもらいたいと思う。最後のチアゴのパスが出た瞬間の画像も、チアゴの足の部分ブレてたし。ボール 3つくらいになってたからね!!!本当にあの瞬間がパスが出された瞬間なのかわからないじゃん!

 

しばらくは殴り合いの心臓に悪い試合が続きそう。見る方の体力持つかな。

 

それでは。

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【マッチプレビュー】 さて、ダービーですが。〜エバートン×リバプール 20/21プレミアリーグ第5節〜

こんばんは、yoruです。ちょっと私用が忙しく間が空いてしまいました。お元気ですか。

 

ということで今回は代表マッチウィーク後に控えたプレミアリーグ第4節、エバートンリバプールマージーサイドダービープレビューを書いていきます。というのも前節、ヴィラ戦のレビューは忙しくて書けないなって思ってたら書く意欲すら失ったので、ここで簡単に前節のレビューみたいなことも書いちゃおう作戦です。

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前節までを振り返ろう

 まずはエバートンから。『今年は行けるぞ』からの気付いたらさして話題にならない順位にいるのがお馴染みとなっていたエバートン。『今年もかぁ』なんて思ってたら、4試合終わって唯一の全勝チームと、めちゃめちゃ話題の中心となっている今季。今夏の補強組のアラン、ドゥクレが加わった中盤はお手本のような働きっぷり。ボールを奪って、ボールを回す。ほぼほぼ100点の出来なのでは。そこにさらにハメス・ロドリゲスという一人で攻撃回せちゃう王様が来たことで、前線及びSBの攻撃が躍動。ハメスからリシャーリソンへのサイドチェンジは美しすぎるので一生サイドチェンジしてて欲しい。そして何よりこの中盤〜前線の組み立てが上手くいっている影響を受けているのが、今まで走り回って真ん中以外でも仕事をしなければいけなかったトップのキャルバート=ルーウィン。自分の仕事が『点を取る』というシンプルになった事で、真ん中に留まれるようになり得点能力が開花。堂々の得点ランキング1位である。

 不安点はCB及びGKの守備なのかな。これまでの試合は大方自分たちがボール保持できたこともあってハメスが躍動していたけれど、ボールを持たれたときに我慢できるかどうかは不安なところ。GK補強の噂も出てたぐらいだし。ブライトン戦の一失点目もピックフォードあれ?って感じだったしね。ボールを持たれて殴られ続けると流石に我慢できない感じ。

 

 ということで対するリバプール。リアルタイムで見ていたものの4-1で折り返した前半でやるせなさと睡魔に負け、朝、目をを覚ましてスマホ見たら7-2という起き上がる気力さえも失うスコアになっていた嘘みたいなホントの話。

 この結果になったことについてはまず、ヴィラが素晴らしかったという事に触れる必要がある。バークリーが加わり、なんか気づいたらスコットランド代表に、ブラジル代表、イングランド代表と列強の代表選手が中盤に揃ってたアストン・ヴィラ。攻撃時はバークリーがトップ下の4-2-3-1で左のグリーリッシュとバークリー、そこにトップのワトキンスも左に流れてきてリバプールの右サイドを粉砕。守備時もカウンターの時のバークリーやグリーリッシュのキープ力、ドリブル力でリバプールのプレスが剥がされ、思いっきり4バックが晒される形が何度も。そりゃオフサイド取れないよっていう。ということでアストン・ヴィラの方が上でした。三連勝するよそりゃ。強いね。で終わらせてはいけないのがチャンピオンの務め。しっかり反省ポイントを探していきましょう。

 まずアリソンの離脱。痛いよ。これは。アドリアンでもシュートストップという点に関してはまずまずの実力はあるんだけど、やっぱり足下の技術は差がはっきり見えてしまう。CBもそれが不安だったのか、GKを含めたビルドアップの回数も少なかったように見えたし。まあヴィラがそこまで前からこなかったというのもあるけど。んでアリソンは4週間から6週間の離脱となりました。日程的にはシティ戦に戻ってきてくれれば万歳って感じかな。

 んで散々言われている最終ラインのミス。特にアーノルドとゴメスの右サイド。この試合はまずアーノルドの戻りが遅かった印象。開いたポジションを埋めない、カバーに戻らない。そりゃグリーリッシュに突かれちゃうよ。んでゴメス。ゴメスに関しては元々足が速いってのが武器です。んで裏に出されてもその速さでなんとかできちゃうのが良いのか悪いのか。最近はその癖も読まれてきて切り替えさせて抜かれる場面が増えてきたって感じ。最終ライン全体に関してですけど、オフサイドも取れたら取るって感じ。あんまり人を見てないのか、見れてないのかは分からない。基本身体能力で追いついて(追いつけちゃって)奪うがルールなのかと。というか中盤でもっとプレッシャーがかかってないといけないんだと思う。4バック晒された時点でもうしょうがないというか。

 個人的には最終ラインはもちろんクオリティの面でダメだったんだけど、構造的という戦術的に問題があるなと思ったのは中盤の3枚で。この試合、守備は酷かったんだけど、それ以上にビルドアップが酷くて。ボールは持ってるのに全然効果的な崩しが見られない、再現性がない攻撃のオンパレード。

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 リバプールがボールを持ったときの動きは5レーンをお手本のようにきっちり使って、SB、WG、IHが旋回しながらチャンネルを狙うってのが基本。そこにフィルミーノがアイディアマンとして関わってくるのが狙い。特に左サイドはこの動きが顕著で、それは旋回してポジションを入れ替えても守備時に耐え切れる、時間を使わせる守備ができるマネ、ワイナルドゥム、ロバートソンが揃ってるから。リバプールファンじゃない方でもこの3人は”THE Liverpoolの選手”って感じじゃないですかね。豊富な運動量と献身性。

 んで一方、右サイドはというとあまり入れ替わるってことはしなくて、サラーなんかは単機で突っ込んで行けるし、アーノルドも浅い位置でもクロスで仕事できちゃうし。組織というよりは個で崩すことが多いサイド。そこに今季はナビ・ケイタがスタメンで出るようになって、右サイドでも旋回してチャンネルを狙う動きが増加。それにケイタ自身、ドリブルでチャンネル狙えたりするのでガンガン前に残るように。ただ、その弊害として攻撃が終わった後にケイタが前線に残り、サラーは外側に開きor内側に自分も入っていき、アーノルドが一人残されるという場面が目立つように。つまりリスクヘッジがうまくいっていない状況が多発。

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 ヴィラ戦では左サイドのジョッタもハーフレーンにずっと位置することが多くうまく旋回できない、右サイドはケイタ、サラーが内側に入ってくるから守備もギュッと絞り、結果的に狭いスペースでサッカーをすることに。そりゃそれだけ狭かったらフィルミーノもボール収まらないよ。

 

 長々と書きましたが、要するに立つべきところに選手が立っていない状況。んで個人的にはケイタがその中心となってしまっているのかなと。ワイナルドゥムと被ることも多いし。いろんな選手と関わることが多い中盤だからこそ弊害がいろんなところで出てきてしまっている。もちろん、攻撃面での活性化、新たな攻撃パターンってのも出てきてるんですけど、この試合では収支はマイナスでしたよと。以前はケイタはできてたかと言われると「いや、そうでもないよ」と言う感じなので成長してもらいたいところ。伸びしろです。んでお手本にすべきはヘンダーソンで。精神的にも守備的にも、やっぱりまだ右サイドはこの人いないと守備崩壊するんだなって感じ。

 

ということで書きすぎました。ヴィラ戦のレビューでした。あ、サラーはさすがです。エースが得点し続けてるってのは重要だと思います。

直近の対戦成績

ということでマージーサイドダービーの予習を。

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 直近6戦はこんな感じ。(Who's Scored より)FACってのはFAカップのこと。 というかエバートンに対しては今のところ2011年から無敗。引き分けも多いイメージだけど。

 

ただ、エバートンリバプールというクラブで見るとリバプール優勢なんだけども、クロップとアンチェロッティという目で見るとそうでもなかったり。

まず13/14 CLでのドルトムント対レアル。この前年にレヴァンドフスキの4点で粉砕されたレアルは監督がモウリーニョからアンチェロッティに変わり、2戦合計3-2でアンチェロッティの勝ち。

次に対戦したのは記憶に新しいリバプールナポリ。2年連続でCLのグループステージでぶつかり、4戦やって1勝1分2敗と負け越し。とにかく4-4-2で守るナポリの守備が凄まじいほどに硬く、その上インシーニェ、メルテンスのカウンターが鋭い。またビルドアップもサラーの背後をとってライン間に横から侵入、サイドチェンジを挟んでファンダイクを引きずり出し、折り返して仕留めるという対リバプールのお手本を見せており、そのせいですっかりリバプールナポリに大して苦手意識が植え付けられてしまった。

そして去年の年末にアンチェロッティイングランドにやってきて、アンチェロッティエバートンとは今回が3回目の対戦となる。1回目はリバプールが主力を除いたカップ戦、二回目はコロナ中断明け初戦だったため、なんだかんだ言って正面から真っ向勝負することになるのは初めてだったりする。ちなみにその2戦、どちらも南野がスタメンだったりする。

怪我人情報など

※試合前まで更新します。

Everton

ブライトン戦欠場のアラン、アンドレ・ゴメスは出場可。

ジョンジョ・ケニーは足首の問題、グバミンはアキレス腱、ジェンクトスンは前十字靭帯、ホールゲイトはつま先、ブランスウェイトは足首で欠場

一番問題のリシャルリソンはギリギリ戻ってくるっぽい。

Liverpool

ヘンダーソンマティプは出場可。シャキリ、チアゴもコロナから復帰。トレーニングに参加してます。

チェンバレン、アリソンは相変わらず怪我。

マネはコロナ復活して間に合いそうな感じ。

そしたらケイタがコロナにかかりました。

予想フォーメーション・展望

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 ということで。ざっと並べてみましたが、エバートンはこれまでと同じ4-3-3で来るんじゃないかと。ここまで好調なのにわざわざ4-4-2で守りに来るとはちょっと思えないからね。4-1-4-1で我慢して、そのあとのカウンターで一刺し出来るほどのカウンター精度とリバプールの被カウンターの脆さがありますので。(涙)んで、ボール保持に関しても、ハメスが左に寄ってくる形から数的優位をサイドで作り、裏抜けって形はこれまでのリバプールには刺さる。キャルバート=ルーウィンが降りて来ずに我慢してトライアングルの頂点であり続けることが条件でしょうか。

 

 一方のリバプールはまずCBはマティプです。DFラインのミスは人を変えて対応です。それと上背に関してはゴメスよりマティプなので好調のDCLを止めるためにも頑張っていただきたい。んで中盤ですが、この試合のキーマンとなりそうなヘンダーソンはやはり右IHで使いたい。バランスを取りながら出るところは出る、引くところは引く、というリバプールの旗印になれるのはこの人しかいません。んで左側でちょっと意向が見えると思うんですけど、ボールをなるべく持って戦いたいのでチアゴ。引いて守る時に若干の怪しさがあるエバートン相手にはうってつけじゃないでしょうか。

 あ、それとファビーニョ、フィルミーノのブラジル組はイングランドに帰ってくるのが試合の2日前とか結構ギリギリなんで、ヘンダーソンがアンカー、左ワイナルドゥム、右チアゴってのも普通にあると思います。てかこっちの方がありそう。ヘンダーソンのアンカーはビルドアップの時若干詰まることもあるんだけど、まあマティプならボール出せるし。なんならフィルミーノのところミナミーノもありそう。

リバプールの今季の守備の脆さは個人的には人の問題だと思っているので、スタメンをいくらか入れ替えれば解決するんではないかと。戦術的に今まで出来てた人が出来なくなってるというよりかは、そもそも出来てない人だったので。ただ入れ替えられないポジション(ファンダイク、アーノルド等)もあって勤続疲労が心配。

試合と通して、気を付けたいのはボールの失い方とその後のリスクケア、そしてエバートンがボールを持った時に自由に動き回るハメスをどうするかという点。基本的にリバプールはボールの奪いどころは決めていても、フリーで動き回る人に対してはその都度マークを受け渡してくので、そのギャップを突かれないようにしたい。特にファンダイクの視界の正面でファンダイクがピン留めされる時の背後は弱点になっているので、そこのカバーをアンカーもしくはCBがするかというポイントは決めておきたいところ。理想はハメスにボールが渡る前に囲む、そうして焦れてハメスがブロックの外側でボールを持ってくれれば、ファンダイクとマティプのCBであればDCLはそこまで怖くない。むしろバランスが崩れてカウンターが決まりやすくなるし。

 

 

ということでこのタイミングでのマージーサイドダービー。個人的には中盤3枚同士のマッチアップ、そこに加わってくるフィルミーノが鍵だと思っております。楽しみに待ちましょう。

それでは。