yoruの記録

雑記ブログに見せかけてほとんどサッカー(Liverpool,Dortmund)の話。

20/21 ドルトムント シーズン総括 チーム編

ということで久しぶりに書いていこう。

今回はチーム編ということで、個人に焦点を当てるのではなく、チーム全体を通して見て振り返っていく回。

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移籍関係

IN

・Thomas Meunier (Free)

Jude Bellingham (23.0m€)

・Reinier (Loan)

・Felix Passlack (Loan back)

 

OUT

・Leonardo Balerdi (Loan)

・Marius Wolf (Loan)

・Achraf Hakimi (Loan back)

・Mario Götze (Free)

・André Schürrle (Retired)

 

ドルトムントは上場企業なので、誰でもチームの収益を確認することができる。8月の報告によると19/20シーズンは4900万ユーロの赤字。大赤字。

ということで緊縮財政となった移籍市場。ハキミが出て行ってしまった事による大きな穴は、パスラックを戻すのと、なんか無料だったベルギー代表で埋めたフリをしてやり過ごし、また、もう一度レアルから面白そうな若手をとりあえず貰っておくことで、『若手はドルトムントに!』という広告も忘れない。

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前シーズン9G10Aのハキミに代わってやってきた人。

んでユナイテッド相手にサンチョの駆け引き、というか遊び相手をしているうちに*1、しれっとベリンガムを補強している。スカッドの年齢層的にも夏のメインターゲットはベリンガムだったと思われる。ここに関しては大成功の補強だと言っていい。

そして、シュールレが引退し、ゲッツェが移籍した。

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仲良しトリオ、解散。

Lucien Favre期

6勝1分4敗 5位

  ファブレは特段ダメな監督ではなかったということをまず書いておく。若手の積極性を伸ばし、同時にキャプテンシーのある選手を獲得し安定性も図る。前任のボシュやシュテーガー、さらにはトゥヘルの頃から考えると、チーム作りではうまくやっていただろう。明確にチームに芯が通ったのは大きい。ここはファブレの良かったところ。

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なんか頭は良いけど怒るとよくわからんこと言い出す人っぽい。

 

 悪かったところは、「これは優勝行ける」と思えなかったところ。リーグ戦ではビッグクラブへの勝利より、いかに下位相手に勝ち点を落とさないかが重要だ。どうせビッグクラブはビッグクラブ同士で潰し合って差がつかないから。極論バイエルンに2敗してもそれ以外で勝ち点をほとんど落とさなければ優勝は堅い。

  そのくせにファブレは下位のクラブに勝ち点を落としまくった。今季だけでもアウクスブルグ、ケルン、シュツットガルトに負けている。

  それに大体負け方も一緒というところがストレスポイントが高かった。ハキミはもう居ないというのに3バックを続け、スピードはなくなり、相手を押し込めはするが、ブロックの外側をパスが周り、中に入ったら奪われ、スピードがないCBでカウンターを食らう。CFが居なくなりロイスやブラント、アザールの0トップ化もそれに拍車をかけた。ハーランドの怪我とサンチョの不調も言い訳にはなるだろうが、それを言い訳にするんなら、二人が居る時にやっていたサッカーはおかしい。明らかに選手の特徴とやっているサッカーがチグハグだった。解任も妥当。

それでも若手の育成、定着とチーム作りという功績はは今のチームが今後タイトルを撮った時には評価されるべきだと思う。まだまだ他のチームでもやれるんじゃないか。

どこかに「若手を中心に使いたくて、格別の成績よりチームの再建。3年ぐらいで後任に任せる」っていう監督を探してるチームないかなぁ。。。

 

 

 

あ!!!!!

 

 

 

 

シャルケとかどう???

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どうも”休日のおじいちゃん”に見えて、この人があの若者たちの真ん中でシャーレを上げる絵が想像できなかった。

 

Edin Terzić期

14勝 3分 6敗 3位 (レバークーゼン戦の願望を込めている。)

テルジッチの良かったところその1。

戦い方がロジカルになったこと。ロジカルになったというのは勝つために何をすれば良いかということを明確にして、それを愚直に実行したということだ。つまり前述した、いかに下位チーム相手に勝ち点を落とさないか、ということを目標にチームを改善した。

 現代サッカーではやれ5レーンだの、ポジショナルプレーだの、ミドルゾーンでのプレスだのと戦術合戦に躍起になっているが、結局のところサッカーという競技は90分間で相手より多く得点を取れば良いわけで、得点を取るにはシュートを打てばいい。*2んで早い話、ドルトムントの選手はシュートが非常に上手い。
シュートが非常に上手いから、特に余計な細工を仕込まなくていい。全員が走って中央を固め、ボールを奪い、走って、仕掛けて、シュートを打つ。そうすれば点が取れる。当たり前のことかもしれないが、その”当たり前”は本来競争においてどんどん淘汰されていくもの。しかしブンデスにおいてドルトムントの選手はそのレベルが高いから淘汰されない。試合のテンポを上げてシュートの打ち合いにすれば大体勝てるのだ。*3ライプツィヒ戦なんかがいい例で、ナーゲルスマンがあの手この手でドルトムント陣内をめちゃくちゃにしようとしても、ドルトムントしては最後のゴール前さえフンメルス中心に守っておけば勝手にボールがやってきて、んで相手の守備が整う前に前線のタレントで仕掛けてしまえば点が取れる。ナーゲルスマンからしたら『なんでそこ守れないんだよ!人数揃ってんだろ!』の連続なんだと思う。あとマインツ戦の2点目とか見て欲しい。点取られたあとのマインツの選手の悲壮感がすごいから。

 テルジッチになって復活とか言われてたゲーゲンプレッシングも別にそんな大層なものではなくて。ボールホルダーにはアプローチしましょう、前と後ろで守備は連動しましょうっていう結構当たり前のことを当たり前にやってるだけ。むしろ「俺らカウンター上手いんだしボール持たせてもよくね」っていう自分たちの長所を生かすための撤退守備もしてて、結構年齢の割にリアリストだと思う。

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 サンチョやハーランドは守備に走ったり、そういう当たり前が当たり前にできるから素晴らしいと思う。デンベレと違って。

テルジッチの良かったところその2。

若いこと。これは近年ドルトムントにおいて結構呪縛みたいになっている節があって、どうしてもドルトムントの監督はユルゲン・クロップが浮かんでしまうんですね。優勝するにはあのようなセンセーショナル感、新進気鋭感がないとできないという呪縛がかかっているんですよ。んで、テルジッチは若い。ファブレの時に感じられなかった優勝できそう感を出してるんですよ。大声出してるのもポイント高いですね。インテリ感があんまり感じられないのもいい。マルコローゼの隣に行っても大声出してもらいたい。

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クロップの振る舞い方を参考にしてると思う。良いと思う。

 

テルジッチの悪かったところその1。

ビルドアップがド下手。というか、それがチームベースで修正されないところ。もう相手の2CF相手にドリブルを仕掛けるCBエムレ・ジャンを見たくはありません。ヴッツェルが抜けた後から酷いシーンが散見されたのを見る限り、選手ベースでビルドアップはしている模様です。なんかチームとしてプロトコルを作れ。

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何度見てもこの配置おかしい。

テルジッチの悪かったところその2。

選手を売る目処が立ってない。これはテルジッチというかフロントもなんだけど。売る目処が立ってない選手というのは、サンチョとかハーランドとかレイナとかベリンガムとか売りますって言ったら莫大な金額と引き換えに出て行ってしまう選手のことではなくて、むしろそんな若手に場所を奪われている中堅選手のことだ。若い選手であればそもそも加入するときに投資した金額が少ないから、たとえ活躍しなくてもレンタルやらですぐ元は取れる。給料も安いし。活躍したら年齢が若いからという理由で実績より高く売れるわけだし。ただ、中堅選手というのはそういうわけにはいかない。

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出場時間と年齢の散布図。(33節マインツ戦終了時点)

このグラフで言えば左上になればなるほど、年齢が高いのに試合に出てない。まあ給料高いのに活躍してないぞってことだと思ってくれればいい。つまりシュルツやディレイニー、2人のGK、アザール、ブラントあたりは処遇をどうにかしないといけない。*4*5が、試合に出てないのでセールスポイントもなく契約を全うしてしまう(フリーで出て行ってしまう)事になる。

ルートは二つあって、ピシュチェクフンメルス、最近はヴィツェルのように実力で試合に出続け活躍しクラブの功労者になるルートと、まだ他クラブからのオファーがあるうちに放出するかだ。クラブ功労者ルートが良い様に思えるが、これからもこのクラブはグラフの右下から左下の選手たちを重用していくだろうから枠は少ない。さらに右下の選手たちが出て行ってしまったとしても、そのたんまりと入ったお金でまた別の才能が入ってくるだろうから、なかなかこのクラブで出続けるというのは難しいことなのだ。フンメルスピシュチェクのように経験を必要とするポジションをほぼ一人で出ずっぱりになるか、ロイスのように世界中のクラブからオファーが来ても、クラブへの忠誠を早い段階で叫ぶしかない。つまりポジションの入れ替えが比較的激しい前線の選手であるアザールやブラントはオファーがあったら放出も視野に入ってくるだろう。アーセナルから注目されてる今が結構貴重だったりする。

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2500万ユーロ払って獲得して2年で1500分ぐらいしか出てない人。

 

来季の展望

  ちょっと最後に暗くなるようなことを書いたが、基本的にこのクラブは面白い。ビルドアップが全然整理されないのも目を瞑れば可愛いものだ。ロイスのエロいアシスト、サンチョの股抜き、10代の選手たちが相手をチンチンにするプレーが見れるなら目を瞑ろう。   

 今、ドルトムントに若い才能が入ってきてるのは、あの2011/12からの連覇によるところが大きい。しかし、それもそろそろボロボロになってきている。むしろその間ずっとバイエルンが優勝してくれてたのもちょっと大きい。他のクラブが優勝していたらハーランドはライプツィヒにでも行っていたかもしれない。そろそろもう一度実績を作る必要がある。「ドルトムントは若手を積極的に使ってくれるし、しかもタイトルも狙えるクラブだぞ」と。別に毎年優勝してくれとは言わないから、3年に1回ぐらいでいいから優勝してほしい。そして来年はそのチャンスだと思うのだ。選手を売ることでしか利益を得られないクラブから、結果でも稼げるバイエルンのようなクラブに一歩近づけるチャンスだと思う。ポカールはその一歩目であるから優勝は非常に嬉しかった。

ということで、まずフロントにはGKとCBとSBを早急に補強して欲しい。よろしく頼む。

 

それでは。

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個人編↓

yoru-li.hatenablog.jp

yoru-li.hatenablog.jp

 

*1:夏のトレーニングが始まった時点でサンチョの放出は無いに等しかったが、なんかユナイテッドがお金渡そうとするから、今夏のために吊り上げておいた可能性がある

*2:まあ、いかにシュートを多く打つかということを考えた結果生まれたのが5レーンやポジショナルプレーやプレスなのだが。

*3:ドルトムント以上にシュートが上手いバを除く。

*4:アザールは怪我の影響も大きいが、そろそろ年齢も年齢だし。

*5:ムニエはフリーでの獲得だから、まだ影響はないがパフォマンス的に売れるなら売りたい